室蘭の方より遺言書に関するご相談
2024年07月03日
Q:行政書士の方、内縁の妻に財産を渡すには遺言書が有効とはどういうことでしょうか。(室蘭)
私は現在、室蘭で内縁の妻と暮らしており、彼女とは籍を入れてはいません。私は20年ほど前に前妻と離婚していて、元妻の下に成人した子供が一人います。子供には何回か会ったりもしましたが、前妻には離婚以降会っていないのですっかり忘れていたのですが、最近、体調を崩して入院をしたことから、相続について色々思うところが出てきました。遺産分割について、息子はもちろんですが内縁の妻にも遺産を渡したいと考えています。ただ、籍を入れていない場合は相続権がないらしく、どうしたら遺産を渡すことができるか調べてみたところ、遺言書が有効と知りました。どのような遺言書を作成すれば良いか、素人の私にもわかるように教えてください。(室蘭)
A:遺言書で内縁関係の方に遺産を渡す旨を記載します。
ご指摘のように内縁関係の奥様には相続権がありませんので、このままご相談者様が何もしないまま亡くなると、推定相続人であるご子息がご相談者様の全財産を相続します(推定相続人がひとりの場合)。内縁関係の奥様にも財産を渡したいという場合には、遺言書でその旨を記載します。そうすることで相続人ではない方にも「遺贈」として財産を渡すことができます。
遺言書にはいくつか種類がありますが、今回の場合は公証役場において公証人が作成する「公正証書遺言」で作成すると良いでしょう。公正証書遺言の原本は公証役場で保管されるので紛失の心配がないだけでなく、法律の知識を持った公証人が遺言者の口述をもとに筆記して作成するため、方式による不備がありません。
また、遺言書には、相続発生時に遺言の内容通りに遺産分割手続きを進める権限をもつ「遺言執行者」を記載しておきましょう。遺言執行者が内縁関係の奥様の代わりに相続手続きを進めてれます。
ただし、遺言書には何を書いても許されるというわけではなく、ご子息の遺留分に配慮した内容にしなければなりません。遺留分とは、法定相続人であるご子息が有する権利で、相続財産を最低限受け取ることができる割合です。もしも内縁関係の奥様に全財産を遺贈するという内容の遺言書を作成した場合、ご子息の遺留分を侵害したことになります。そのためご子息が、内縁関係の奥様に「遺留分が侵害された」と訴え裁判沙汰になってしまう可能性が否定できません。内縁関係の奥様とご子息が揉める事の無いような内容の遺言書を作成することが好ましいでしょう。
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